当地から映像作家を生み、さらにその作品の配給も目的にするこの部門。厳正な審査による入賞作品を上映。鮮烈な映像群にぜひご期待下さい。


第6回長岡インディーズムービーコンペティション 審査結果・講評
(敬称略)

グランプリ



【作者作品解説】
敵の出てこない、銃撃戦のない、血の出ない戦争映画。

「はなさか」 吉野竜平

  • 過去のモノクロ映像と年寄りの声で物語をひっぱり、カラーで現代をあらわし、その意味を問う構成。人の生きがいを見つめた作品と思います。
  • ホムスの音が印象的。設定もよかったが、それ以上に対人間の肌触りのあるドラマが展開されていた。ナレーションも上手く使いこなしている。賢い。
  • ナレーションがプロっぽい。味のある話し方で魅力があった。面白かった。また、いい話で少しじんわりとした。若い頃の野村が、どう見ても現代の若者のような喋り方をするのが、少々気になった。
  • この若さで戦争を描く心意気を大いに買いたい。ただ次回作に期待し現時点では評価を保留にとどめたい。
  • 人生の終焉を迎えようとした男が自分の過去を振り返り謝りたいと言う気持ちを持つことは並大抵のことではないと思う。ナレーションがよかった。
  • 今回の応募の中で私がいちばん大好きな作品です。最後の言葉が沁みました。
  • 発想がユニークで脚本もとても良く出来ています。思わず引き込まれてしまい感動的なラストまで一気に魅せられてしまいました。老人のナレーションも素晴らしいものでした。

準グランプリ



【作者作品解説】
結婚を前に思い悩むのんちゃん。
本当にまさやんのことを好きなんだろうか?
このまま、流されるように結婚して幸せになれるのか?
そんな、のんちゃんの想いとは裏腹に
まさやんの実家へと向けて車は走り出す…。

「春、たゆたう」 渡辺賢一

  • うまい作品と思いますが、ゆれる心情がどこからくるのか描いてほしいと思いました。
  • 撮影がいい。女性の気持ちにかなり純感(原文ままです)な作品だと思いました。もっと得意な内容、自分の作りたいものを撮った方がいいのでは。
  • のんちゃんの心の変化のきっかけが今一つわからない。話としてはよくあるパターンだと思います。上手に撮れているし、音楽も良かったとは思います。
  • 今回の一推し!殺伐した作品が多かった中、この前向きな幸福感は救いにも映った。ヒロインが未来を信じられる、説得力を持つ彼氏の寝顔が素晴らしい。
  • 家族、田舎が出てくるところに好感が持てた。人生の選択も何気ない一瞬の気持ちで決まることはあると思います。
  • それにしても忍耐強い彼氏ですね。ちょっと意地悪な言い方ですがのんちゃんがブスだったら成立しない話だと感じました。映像の美しさ、それから話のまとめ方など、とても完成度の高い作品だと思います。
  • お互いの気持ちを確認し合う二人が愛らしく、朝の海のように優しい気持ちになれる作品でした。

審査員特別賞



【作者作品解説】
肩に性感帯のある咲子(25)と
その彼氏、堀川(28)は付き合って3年が経っていた。
堀川は咲子の性癖にうんざりして、
自身の身体を鎖で縛って慰めていた。
それを知った咲子は鎖と一緒につかう錠前の鍵を
こっそり内緒で持ち出し…。
二人の関係の亀裂から修復までを描いたコメディドラマ。

「それは連鎖のごとく」 谷口譲

  • 心証を表現しようとする意志の強さを感じます。
  • 密室劇でなかなか見ていてつらいのだが、めずらしい話で悪くなかった。こういう発想はなかなかない。地味におもしろい。
  • 何がどこへ連鎖しているのか、今一つ分からなかった。あの小さい写真の下に彼女の写真があるのだろうとは何となく察しがついた。しかし、映像はきれいだったしエンディングの音楽は良かった。
  • お互いの性癖をさらけ出してハードルを乗り越えるカップルの微笑ましさと彼氏の一人芝居の熱演に感じるものがあった。
  • ふたりの趣味がいっしょでよかった
  • 俳優の方の縛られるシーンはすごかったですね。苦痛を耐え忍ぶ姿を見ていたらこちらまで苦しい気分にさせられました。
  • 男性の、本当に好きなのかもと思わせるほどの熱演に脱帽です。が、あのシーンはちょっと長過ぎるのでは?性癖という難しいテーマに挑んだ点は評価されます。

奨励賞



【作者作品解説】
えのぐのにじみ、色の重なり、
紙のしわをきっかけに、
どんどん新しい形・私の妄想が描き足されていく
描き込み移動式コマ撮りアニメーション。

「雪かと思った」 笹川阿沙子

  • イメージのふくらみはよくわかりますが、タイトルへ収まる結論がほしいと思います。
  • もう少し“意味”のようなもの、作家として表現したいことが微妙にでも出てくれば印象に残る作品にできると思います。
  • 独特の音楽に合わせ、線が伸び、色がついていく様は面白かった。しかし、絵同士のつながりが今一つ読み取れず、最後に降った雪のようなものは何なのかはっきり判らなかった。
  • ラストが題名になるんだと思いますが、そこまでのイメージが視覚から脳に伝わってこなかった。自分の能力不足かもしれません。
  • 理屈じゃない心地よさを感じました。しかし理屈じゃない映像が最後に理論づけられるオチがあれば…と思いました。
  • スクロールしながら絵が書き足されていくという手法は面白いのですが、もう少しストーリー性が欲しいところです。