第7回長岡アジア映画祭 上映作品紹介

 

快盗ブラック・タイガー  2000年 タイ  ※オープニング作品
カラー/114分/タイ語
原題“TEARS OF THE BLACK TIGER”
監督・脚本:ウィシット・サーサナティアン
出演:チャッチャイ・ガムーサン/ステラ・マールギー
配給:日活 トライエム
 貧しくも心優しき青年だったが父親の復讐のためガンマンとなったブラック・タイガー。彼の闘いの日々と令嬢との切ない恋を強烈な色彩の中、ワイルドなアクションと叙情的なラブソングを交えて描く痛快作!
 現在アジアで最もエネルギッシュな映画が続々と登場するタイ映画界から始めてカンヌ国際映画祭に出品され観客を騒然とさせた。古典的なメロドラマであり新感覚の西部劇、その名もトムヤムクン・ウエスタン!!


紙の花  1959年 インド  ※シタール演奏(木村倫朗さん)あり
モノクロ/148分/ヒンドゥー語
原題“KAAGAZ KE PHOOL”
英題“PAPER FLOWERS”
監督:グル・ダット
出演:グル・ダット/ワヒーダー・ラフマーン
フィルム提供:国際交流基金
協力:(財)国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)
 1930年代半ばのインド映画界。妻子ある人気監督シンハーはある日偶然出会ったシャンーティを新作のヒロインに起用し映画は大ヒット。惹かれ合う二人だが父親の不実が許せない娘によって二人の愛は引き裂かれ…
 伝説の巨匠グル・ダットの昨年好評だった「渇き」と並ぶ傑作。実際に妻子がいながら本作のヒロイン、W・ラフマーンを育て強く惹かれていたグル・ダットの半自伝的な悲恋映画。インド映画初のシネスコ映画でもある。


カンダハール  2001年 イラン=フランス
カラー/85分/ペルシャ語(ダリ語)、英語、他パシュトー語
英題“KANDAHAR”
監督・脚本:モフセン・マフマルバフ
出演:ニルファー・パズィラ/ハッサン・タンタイ
配給:オフィス・サンマルサン
 女性ジャーナリストのファナスは「次の皆既日食の前に自殺する」という妹からの絶望の手紙を受け取り、一度は捨てた故国アフガニスタンに帰還する。妹を救う決心をした彼女が困難な旅の中で見たものは…
 女性への抑圧、ブルカを被った女たち、飢餓と貧困、タリバン、そして地雷で傷ついた人々の群れなど、忘れられた国アフガニスタンの現実をファナスと共に追体験し世界の無知を告発する“今世界でも最も重要な映画”。


キプールの記憶  2000年 イスラエル=フランス=イタリア
カラー/118分/ヘブライ語
原題“KIPPUR”
監督・脚本:アモス・ギタイ
出演:リオン・レヴォ/トメル・ルソ
配給:アルシネテラン
 ワインロープと友人ルソは兵役に従事する事になっている特別部隊エゴスを探していたが見つからない。そんな時、非常事態宣言が流れ戦争が始まる。二人は空軍の救急部隊に入り、過酷な戦争にのみこまれていく…
 1973年に起きたヨム・キプール戦争(第4次中東戦争)に実際に救急部隊として配属され23歳の誕生日に乗ってたヘリが撃墜されたアモス・ギタイ監督の体験を基にリアルな戦場のぬかるみの中でもがく兵士に迫る。


銀杏(いちょう)のベッド  1996年 韓国
カラー/86分/韓国語
英題“THE GINGKO BED”
監督・脚本:カン・ジェギュ
出演:ハン・ソッキュ/ジン・ヒギョン/シン・ヒョンジュン/シム・ヘジン
配給:シネカノン/アミューズピクチャーズ
 画家スヒョンが手に入れた銀杏の木で作られたベッド。その日から突然何物かに命を狙われ、謎の美女に助けられたりと不可解な出来事が。戸惑うスヒョンに明かされるのは千年という時空を超えた現代に蘇る愛の伝説。
 「シュリ」のカン・ジェギュ監督のデビュー作はハン・ソッキュが一躍トップスターとなった輪廻転生をテーマにした幻のラブファンタジー。続編「燃ゆる月」が製作されるほど大ヒットとなった。


ドリアン ドリアン  2000年 香港
カラー/117分/北京語、広東語
英題“DURIAN DURIAN”
監督・脚本:フルーツ・チャン
出演:チン・ハイルー/マク・ワイファン
配給:大映株式会社
 中国東北部の町から香港へやって来たイェン。娼婦として身体を張って稼ぐ厳しい毎日の中で不法就労の少女との交流にぬくもりを感じて行く。やがて大金を手に帰郷、しかし成功者として迎えられる自分に戸惑うが…
 「メイド・イン・ホンコン」から始まる゜香港返還三部作”を完成したフルーツ・チャン監督が新境地を開いた意欲作。強烈な臭気と甘い味わいを持つ果物の王様ドリアンと香港を重ねて模索するヒロインの再生を描く。


ふたつの時、ふたりの時間  2001年 台湾=フランス

カラー/116分/広東語
英題“WHAT TIME IS IT THERE?”
監督・脚本:ツァイ・ミンリャン
出演:リー・カンション/チェン・シアンチー/イップ・トン/ジャン=ピエール・レオー
配給:ユーロスペース/サンセントシネマワークス

 路上で腕時計を売るシャオカンはパリに旅立ったシアンチーへの想いを断ち切れず台北中の時計をパリ時間に合わそうとする。一方、パリではシアンチーがシャオカンとの繋がりを思わせる不思議な出来事に遭遇していた。
 「愛情萬歳」「河」等全ての作品で台北に生きる孤独な青年シャオカンを主人公にしてきた鬼才ツァイ・ミンリャン監督が、ふたつの都市を舞台に一度遭っただけで二度と交わることの無い男と女の孤独な姿を見つめる。


恋愛回遊魚  2000年 台湾
カラー/60分/北京語
原題『起毛玉了』
英題“FLUFFY RHAPSODY”
監督・脚本:ウー・ミーセン
出演:チャン・ジャーホイ/ツァイ・ツェンリャン
配給:グアパ・グアポ
 30歳目前のプータロー、ワンは魅力的な自称レズの女子高生ミャウミャウと知り合いなんとなくつきあい始めるが一方で彼女を思い探し求める青年がいた。それぞれの想いは台北の街を回遊し意外な結末へと。
 武田真治主演で次回作を撮影したMTV出身の新鋭ウー・ミーセン監督が日本でも共感する若者たちの今の空気感を「宵待草」のメロディを効果的に流して描く、新世代の台湾インディーズムービー!!


華の愛 遊園驚夢  2000年 中国
カラー/122分/北京語
原題『遊園驚夢』
英題“PEONY PAVILION”
監督・脚本:ヨン・ファン
出演:宮沢りえ/ジョイ・ウォン/ダニエル・ウー
配給:グルーヴコーポレーション/ギャガ・コミュニケーションズ
 1930年代の中国蘇州を舞台に、やがて没落する貴族社会に嫁いだ歌姫ジェイドは夫からの愛が失せた後に、彼女を慕う男装の麗人ランと友愛を超えた絆を結ぶが二人の間に端正な青年シンが現れ…
 はかなく美しい宮沢りえがモスクワ映画祭最優秀女優受賞した話題作。「美少年の恋」のヨン・ファン監督の美意識が贅を尽くした衣装、美術を用いて絢爛豪華な映像美で描く文芸ロマン。


エンジェル・スノー  2001年 韓国
カラー/112分/韓国語
英題“A DAY”
監督:ハン・ジスン
出演:イ・ソンジェ/コ・ソヨン配給:パンドラ
 結婚6年目、仕事も家庭も順調ながらも子供が欲しいのになかなかできない若い夫婦。諦めかけてた矢先、妻に待望の妊娠の知らせが。大喜びする二人だったが、赤ちゃんは不治の病で産まれても一日の命と宣告された…
 出産を巡る韓国的な実情も含め、実話を元に苦悩と葛藤を乗り越え深い絆を深めて行く夫婦愛を描き韓国中が涙を流した大ヒット作。本作で大鐘賞主演女優賞を受賞したコ・ソヨンは名実ともに現在のトップ女優。

 

鬼が来た!  2000年 中国
パートカラー/140分/北京語、日本語
原題『鬼子來了』
英題“DEVILS ON THE DOORSTEP”
監督・脚本:チアン・ウェン
出演:チアン・ウェン/香川照之/チアン・ホンポー/澤田謙也
配給:東光徳間
 第二次世界大戦末期、日本軍占領下の中国・華北の寒村に麻袋に入れられた日本兵が置き去りにされる。話し合いの結果、村人達は男を生かしておくことにし日本兵は感謝をするがやがて取り返しのつかない悲劇に。
 中国のトップ俳優で『太陽の少年」で監督デビューしたチアン・ウェンがカンヌ国際映画祭グランプリを獲得した入魂の第2作。中国での大変過酷だったという撮影現場での香川照之、澤田謙也ら日本人俳優の熱演も光る。

 

阿賀に生きる  1992年 日本  ※小林茂舞台挨拶あり
カラー/115分/日本語
英題“LIVING ON THE RIVER AGANO”
監督:佐藤真
撮影:小林茂
製作:阿賀に生きる製作委員会
 阿賀野川流域の民家に7人の若者が住込み阿賀野川の「心」を撮ろうと三組の老夫婦に向けてカメラを回した。新潟水俣病患者の日常をとらえ今も全国で上映会が開催される日本ドキュメンタリー映画史上に残る名作。
 長岡在住の小林茂が初めて映画の撮影を担当。公開から10年を記念し上映。登場する老人の多くは亡くなったものの、これからも語り継がれるだろう彼等の輝く笑顔がとても素晴らしい。92年度キネマ旬報第3位。

 

ギフチョウと生きる郷(さと)〜神奈川県藤野町篠原・牧場地区の記録〜
2001年 日本  ※無料上映
カラー/23分/日本語
英題“Gifu-Chou”- Precious butterfly in Japan.
企画:能勢武夫
演出:能勢広
脚本:木村美智子
音楽:芳晴
生態監修:高桑正敏
製作・撮影:矢島仁
 世界中で日本だけに住む天然記念物のギフチョウ。この美しい姿を何よりも子供達のためにと立ち上がった人々。7年の歳月をかけて撮影された貴重な映像の数々。特に幼虫の大変珍しい吐糸行動も記録され学会でも発表された。
 2001年度キネマ旬報文化映画第6位。