第3回長岡インディーズムービーコンペティション

審査結果・講評(敬称略)

グランプリ

「由布院源流太鼓」 呉 美保

  • 作者の、彼と太鼓に向ける想いがストレートに伝わってくる。太鼓の音にシンクロしたズームやカラー変化の表現はリズムがあって心地良い。私小説的な内容故、ノレない人が出てくるのは致し方ないところ。
  • 源流太鼓の存在を初めて知りました。
    呉さんの彼と彼の愛するものに対する想いが伝わってきました。もしかして太鼓に対しては愛情の他に軽い嫉妬も入っていますか?(違ったらスミマセン)
    ただの好きな人の追っかけではなく、源流太鼓の魅力が伝わってきました。自己満足ではなく第三者が観ても不快にならないのは(不快になるどころか源流太鼓のことをもっと知りたいと思いました)表現する方の才能に因るところが大きいと思います。
  • 恋心は伝わりながらも共感できず。
  • 気持ちは分かるが、カメラワークがよくない。ダラダラしている。

 

準グランプリ

「サイレント ベル」 藤橋 誠

  • 夢見る漫才師の掛け合いが見事。前向きで清々しい姿勢に好感。
  • 二人の演技は良かった。しかし、話の展開が臭く乗れない。もっと二人の青春映画にして欲しかった。売れない若手芸人の演技が素晴らしい。
  • 単なる青春グラフィティかと思いきや、そこに車椅子の謎の少女が出現することによってぐっと物語に深みが増す。が、正体が分かると多少興ざめ。もう少しひねりが欲しかった。
  • 漫才のコンビの掛け合いが最高でした。笑った場面がいくつもありました。話としては車椅子の少女が妹だったと分かった瞬間から急に気持ちが落ちてしまいました。コンビの二人も最高でしたが、服役後復帰したもう一人と、マネージャーらしき人の会話も、そのままステージに二人で立ったらいいんじゃないのかと思うくらいおかしかったです。音楽も良かった、一瞬「久石譲さんかしら」と思ったくらいです。

 

エンターテインメント賞

「屋上の釣人」 浜田弘典

  • 独特のテンポをすでに掴んでいるが長くしたものが観たかった。
  • もっと展開して欲しい。ムードは良かった。たぶんこの作品はフェリーニの「悪魔の首飾り」からのインスパイア。
  • 独特の雰囲気を持っていて面白い。これに関してはアイディア一発勝負の作品なのでもう少し、凝った構成のものも観てみたい。
  • ほのぼのとした雰囲気、そしてそれにピッタリと合った音楽。とても大好きな作品です。男の子が、女の子を釣り上げるのかなあと思ってみていたら、ブラックな展開…。監督にショート・ショートの才能があるのなら「映像の星新一」とか「筒井康隆」みたいに、こういう超短編でほかにもブラックユーモアな作品をもっとたくさん見てみたいです。

 

 

審査員特別賞

「AMAR GASM」 牧野 貴

  • おおっ、アヴァンギャルド!こういう作品を待ってました。映像は雰囲気もありカッコ良くて好きです。ただ、メッセージは割とシンプル(多分)なので多少、中だるみが気になりました。
  • とっても不思議な作品。
    正直に言うとよくわからなかったのです。でも映像を見たときの「カッコイイ」という気持ちと衝撃は強かったです。

 

入選作品


「A.S.T 愛と青春の低気圧」 新垣 善広

  • 腕はある方なのでストレートなアクション映画を期待します。
  • 冒頭はこれは!と思ったが、おもしろくなかった。銃で撃たれるシーンは手抜きだ。
  • プロ顔負けのアクション。趣味もここまで来れば大したモノ。あとはシナリオが良くなれば。
  • 笑えました。一番笑ったのは「歓びの歌」(でしたっけ?)で、撃たれながらまるでオーケストラの指揮者のように体をくねらせていたシーンです。ああいう笑えるシーンがもっともっとたくさんあるとよかったな、と思いました。それにしてもアクションシーンはすごい!俳優の方たちもすごかった。登場人物の中で一番気に入ったのは、「結婚詐欺を伝えているキャスター」です。


「ギフチョウと生きる郷」 矢島 仁

  • 素晴らしい作品だと思いました。
    もう少し、蝶のアップとかあってフランスの「ミクロコスモス」を見たときのような感動とか、肉眼では体験できないギフチョウの世界を見てみたいな、と思いました。
  • 手堅い作り。作者のお仕事に敬意を表します。
    ただ、記録映画というのはこのコンペにはいささかフィットせず、残念。
  • 説明的でおもしろくない。インディーズと言い難い。


「ZERO」 水ノ江 知丈

  • 仮面の女というそそられるアイディアまでも放り投げてるのがもったいない。
  • 二重の仕掛けが面白い。
    設定故の事だと思うけど説明的すぎるのが気になる。もっと画で伝えて欲しかった。
  • 「世にも奇妙な物語」を思い出しました。
    まるでミステリー小説を読んでいるような面白さがありました。もっとテンポよく、もっと恐怖感が伝わってくるような雰囲気が欲しかったです。
  • 映画的でない。新しさを感じない。仮面が気に入らない。


「寄り道」 田部 宏太郎

  • 何か起こりそうで起こらないという狙いは分かったが、やはり起きて欲しかった。ヒロインが美人なのもこの作品ではマイナスに見えた。
  • ホロ苦くてほのぼの。夢破れて去っていく女と同じ夢を追い始める男のひとときだけの関係が素敵。もう少しテンポが良ければ。
  • 大好きな作品です。アーウィン・ショーとか、レイモンド・カーヴァーとか上質な短編作品を読んだときのような気持ちになりました。「上品」ってこういうことを言うんですね。説明しすぎないし、くどくないし。
    自分が大学を卒業して大好きだった街から離れていくときの切ない気持ちを思い出しました。
  • メリハリがないのでダラダラとした展開になってしまった。