当地から映像作家を生み、さらにその作品の配給も目的にするこの部門。厳正な審査による入賞作品を上映。鮮烈な映像群にぜひご期待下さい。


第5回長岡インディーズムービーコンペティション 審査結果・講評
(敬称略)

グランプリ



15:00 ビデオ作品
スタッフ:岩田ユキ/松村良洋/楠俊之
/市村真美/佐藤アツシ
出演:浅田理芳/佐藤穂奈美/三浦百合香
/鉢嶺杏奈/及川勝

「ここからの景」 岩田ユキ

  • 旨くドラマとして丁寧に心理描写をしっかり見せようとしている。が、多感な少女たちの戸惑いと言うある意味描き易さもあり、さらに映画的な広がりを感じ得ないのが少々問題。
  • おもしろくて、せつなくて、カッコイイ。
  • 嫌われ者3人組を中心に物語を組み立てるという発想に脱帽です。屋上の2人は本当に演技が上手く、キャラクターもいきいきして見えます。テーマのわりに後味も爽やかで、まさにグランプリにふさわしい作品です。でも3位の娘の立場は?
  • これは女の子ならきっと登場人物の誰かに感情移入すると思います。普通、ちょっと外れている側にいるの女の子はステレオタイプ的に描かれがちなのに3人の個性が出ていてとても面白かったです。大好きな、大好きな作品です。


準グランプリ、主演女優賞(鈴木明日香)



40:00 ビデオ作品
スタッフ:樋掛浩晃/竹森世津子/河野和男
出演:今井宏/森川健太朗/鈴木明日香


(鈴木明日香)

「黙って前見て運転せよ」 河野和男

  • 即興性と手慣れた演技、演出でロードムービーを紡ぎ出している。但し、ビデオ任せの雑な所が気になる。
  • 4人とも輝いてたよ。
  • 今回の一押し!夏の黄昏と青春の黄昏のセンチメンタリズムを捉えたロードムービーで、明るさの中に滲み出る切なさがたまらなかった。小さくまとまったものより、この作品の弾ける勢いを買う。ぜひ映画界の太平洋を目指してほしい。
  • 青春とロードムービーはよく似合う! ノリといい、テンポといい観ていてまったく飽きが来ない素晴らしい作品です。ただ、追っ手の兄弟がやりすぎているのがちょっと残念でした。それから鈴木明日香さん、あなたは文句なしの主演女優賞です。
  • 鈴木明日香さん、あなたは最高の女優です。「おしま」の話を最後まで聞かせて下さい。



監督賞(入江 悠)

「OBSESSION」入江 悠

  • 映画的表現力のレベルが高く引付ける。女子高生のキャラクターは表層に隠れる現代の冷酷さを出す事にある意味成功している。
  • 出演者はとてもよかったです。映画に美しさが足りていませんでした。
  • 非常にそそられる設定。不条理な内容だが独特の雰囲気を持っていて楽しめました。女の子たちがかわいいというのがとても意味のある作品ではないでしょうか。
  • 観終わった後に、同時多発テロのこととか、イスラム教とキリスト教の対立とか、中東問題に置けるイスラエルの立場とか何だかいろいろなことに思いが飛んでいきました。それから登場人物の女の子たちが可愛い。彼女たちが角材を持って走り回るシーンは女性である私が見てもゾクゾクしました。映画は視覚的なものだから登場人物のルックスは非常に大切ですよね。宗教部の女の子たちとの映像的な対比も面白かったです。

「SEVEN DRIVES」入江 悠

  • 演出に優れ映画的。ヒロインが魅力。ラストも単なるオチでなく説得力があった。
  • 日曜日の展開は最悪です。とってもカッコワルイ映画になったと思います。でも、映画の空気と音楽がとてもよかったです。
  • 今回の応募作の中で女優の美しさNO.1です。セリフを排し映像とラジオのトークだけで語らせるあたりがにくい。最初はよくわからないサブ・キャラクターのスクーター5人組も後でピリッと効いてきます。しかし7日間同じ番組をやっているラジオ局はないでしょう。
  • 何とも言えないこの空気感が大好きです。それから彼女役の女優の方、とっても可愛いですね。バイクに乗っている5人組が最高です。ワニのエピソードによって作品がとっても良くなったと思います。「ラブラブハンター」はちょっとヘンだな…と思いました。(スミマセン!)リスナーを田舎者と言ったり、自分の番組を聴いてくれている人を暇な人だと表現したり、細かい言葉遣いにひっかかるところが多かったです。剣道の後に、面を外して深呼吸するシーンなどは大好きな場面です。


審査員特別賞

「しももも」 赤木沙英子

  • 日本、ハリウッドアニメに汚染されている現状の中ではとても独創的。デッサン力もある。欲を言えば桃缶の幸福感を出す伏線がもう少しほしい。
  • やっぱり飛ぶんですね。のんびりとゆったりとしていてよかったです。
  • 他の映画祭や映像コンペで受賞した作品は結構あるものの、某番組の受賞作品は初めてです。もちろん作品は素晴らしく、色、効果音、音楽どれを取ってもセンスを感じるものばかりです。庶民的な設定とパステル調のアニメーションのバランスが絶妙でした。
  • この女の子の日常が、何だか自分のすぐ近くにあるように感じました。この作品は応募前から知っていた作品です。その時から大好きな作品でしたが、今こうやってもう一度観ても、やっぱり大好きです。


奨励賞

「花の鼓」 松岡奈緒美

  • 作品としてある力強さが今一つ足りないのが残念。もっと冷静に映像作家として作品に対峙してほしい。力量を秘めているのは認める。
  • 自分の周辺の人を映画で撮るということは悲しみにつながるんじゃないかと思ってます。松岡さんの場合は逆に撮ることによって生(せい)の方向に行こうとしてました。映画を作ったことによって生きていこうと思ったという言葉に感動いたしました。
  • 流産の痛み、そしてそこから来る中絶への拒否感。実際に体験した人でないと分からない思いが伝わってきます。ただあらゆる思いが強すぎて、消化しきれていないような気がします。もう少し客観的に引いた視点で捉えた方が良いのではないでしょうか。
  • 同じ女性として観ていて、いろいろな事を考えました。