第8回長岡アジア映画祭 上映作品紹介

 

五月の雲  2000年 トルコ
カラー/120分/トルコ語
原題“MAYIS SIKINTISI”
英題“CLOUDS OF MAY”
監督・脚本:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
出演:M.エミン・ジェイラン/ムザフェア・オズデミル
フィルム提供:国際交流基金 
協力:(財)国際文化交流推進協会(エースジャパン)
 ゆったりと時間が流れるトルコの田舎町アナトリア。映画監督のムザファが新作にとりかかるため帰郷。豊かな森の中でムザファの両親や従兄弟、幼い甥など彼を取り巻く周囲ではさまざまな出来事が起きていく。
 今年のカンヌ国際映画祭で第三作「ウザク」がグランプリに輝いたトルコの俊英ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の二作目。五月の雲の下でささやかな生活を送りながらも、ほろ苦い思いを抱く人々を詩情豊かに描く。


母と娘  2000年 フィリピン
カラー/120分/タガログ語 
原題“ANAK” 英題“CHILD”
監督:ビリー・B・キントス
出演:ヴィルマ・サントス/クラウディン・バレット
配給:オフィスサンマルサン/ツイン
 香港で家政婦として働いてたジョシーは6年振りに帰国。歳月は子供達を大きく成長させ心も変わっていた。置き去りにされた思いの娘は母への反抗を繰り返すが、ジョシーは娘と真正面に向き合い絆を再生させていく。
 日本でもカバー曲がヒットした「ANAK」を元に、フィリピン経済を支える海外出稼ぎ労働者を綿密に取材した女性監督が家族のあり方を問い大ヒットを記録。母役の大女優ヴィルマ・サントスは政治家としても活躍。


真昼の不思議な物体  2000年 タイ
モノクロ/83分/タイ語
英題“MYSTERIOUS OBJECT AT NOON”
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
作品提供:山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会
 監督はタイの国中を旅し、出会った人たちに物語を創作してもらう。彼らによって語られた「不思議な物体」の物語が交錯して描かれ、話し手によって次々と変容し作者自身も予想できない展開を見せていく。
 斬新な語り口、魅惑的なモノクロ映像、アジアからユニークでサスペンスフルな新世紀感覚の映画が誕生。山形国際ドキュメンタリー映画祭優秀賞受賞を始め、世界の注目を集めた。


チャンピオン  2002年 韓国
カラー/117分/韓国語
英題“CHAMPION”
監督・脚本:クァク・キョンテク
出演:ユ・オソン/チェ・ミンソ
配給:メディア・スーツ
 1982年ラスベガスの世界タイトルマッチでKO負け、そのまま帰らぬ人となった伝説のボクサー、キム・ドゥック。貧しい青年だった彼が愛する女のためにチャンピオンを目指した激しく熱い生きざまを描く。
 「友へ チング」の監督・主演コンビが「男として生きる」ことを選んだ実在したボクサーを映画化。6ヶ月のトレーニングを続けボクサーの肉体を作り上げたユ・オソンの凄まじいファイトシーンに拳を握る傑作。


南島劇場(なんとうシアター)青春篇 与那国COWBOYS   2003年 日本
カラー/94分 
英題“COWBOYS FROM YONAGUNI”
監督:島洋一
主題歌:Baby★Baba
 与那国島から二人の兄弟が闘牛を連れて、石垣島の高校に入学した。牛を育て、闘牛大会に出場する。牛とともに学校生活を送り、卒業し、島を巣立っていくまでを追った青春ドキュメンタリー。彼らの愛牛「宇良部花形(うらぶはながた)」の戦闘シーンが熱い。
  上映後、エンディング・ソングを担当した新潟市在住のアマチュア・ミュージシャン、Baby★Babaさんのミニコンサートがあります。


少女の髪どめ  2001年 イラン
カラー/96分/ペルシア語
英題“BARAN”
監督・脚本:マジッド・マジディ
出演:ホセイン・アベディニ/モハマド・アミル・ナジ/ザーラ・バーラミ
配給:日本ヘラルド映画
 建築現場で働く若者ラティフはアフガニスタンから働きに来た少年の重大な秘密を知る。実は長い髪の美少女だった……以来ラティフは彼女のためにどんな犠牲もいとわない守護天使になることを誓う。
 マジッド・マジディ監督が「運動靴と赤い金魚」「太陽は、僕の瞳」に続きモントリオール映画祭グランプリを受賞。少女の名“バラン”はペルシア語で「雨」。一言も口を利かない彼女はアフガン人の象徴だという。


おばあちゃんの家  2002年 韓国

カラー/87分/韓国語 
英題“THE WAY HOME...”
監督・脚本:イ・ジョンヒャン
出演:キム・ウルブン/ユ・スンホ
配給:東京テアトルツイン

 都会っ子サンウは母親の仕事が見つかるまで山村に住む会った事もない祖母と暮らすことに。甘やかされて育ったサンウはわがままし放題だったが、おばあちゃんは一心に願いを叶えようと無償の愛で孫を包み込む。
 女性監督イ・ジョンヒャンが亡くなった祖母の深い愛情への感謝を込めて撮った“すべてのおばあさんに捧げる”感動作。郷愁を誘う祖母役には一度も映画を観たことがない77歳の素人を抜擢してる。


ディル・セ 心から  1998年 インド
カラー/167分/ヒンディー語
原題“DIL SE...”
製作:シェーカル・カプール
監督:マニ・ラトナム
音楽:A・R・ラフマーン
出演:シャー・ルク・カーン/マニーシャー・コイララ
配給:オフィスサンマルサン
 ジャ−ナリストのアマルは深夜の駅で謎めいた美女と出会い恋に落ちる。しかし無情にも彼女を乗せて去る列車を見送りアマルは呟く「世界で一番短い恋物語だ…」それは彼の生涯を左右する運命の出合いとは知らずに…。
 「ボンベイ」の巨匠マニ・ラトナムが北東部の分離独立闘争を背景に大スター、シャー・ルク・カーンを迎えて描く裕福な青年と辺境のテロリストの壮絶な愛の物語。疾走する列車上でのミュージカルシーンは圧巻!!


ラベンダー  2000年 香港
カラー/107分/広東語 
原題“薫衣草”
英題“LAVENDER”
監督・脚本:イップ・カムハン
出演:金城武/ケリー・チャン
配給:ツイン/キングレコード
配給協力:東京テアトル
 恋人を亡くし生きる気力を失ったアロマテラピストのアテナの前にある日突然天使が現われる。アテナは天使の羽根の傷を、天使はアテナの心の傷を少しづつ癒していくが天使には空へと旅立つ時間が迫っていた…
 「世界の涯てに」「アンナ・マデリーナ」に続き金城武とケリー・チャンが共演。“癒しと香り”をテーマに香港のオシャレなスポット“蘭桂坊(ランカイフォン)”と南フランスの輝くラベンダー畑が舞台のメルヘン。


運転手の恋  2000年 台湾
カラー/94分/北京語
原題“運転手之恋”
英題“THE CABBIE”
監督:チャン・ホアクン/チェン・イーエン
出演:宮沢りえ/チゥ・チョンハン/タイパオ
配給:ニューウェイブ
 台北のタクシー運転手アチュアンは運転が大好きで恋愛にまるで関心がない。ある日スピード違反で切符を切った美人の婦人警官に一目ぼれ。以来あの手この手で彼女の気を惹くため交通違反を繰り返してしまう。
 昨年「たそがれ清兵衛」で映画賞を独占した宮沢りえが「華の愛 遊園驚夢」とともに中国語映画に出演した洒落たラブコメディ。アチュアンの父親役のタイパオはジャッキー・チェン映画のファンにはおなじみの顔。

 

草ぶきの学校  1999年 中国
カラー/107分/北京語
原題“草房子”
英題“THATCHED MEMORIES”
監督:シュイ・コン
原作・脚本:ツァオ・ウェンシュアン
出演:ツァオ・タン/ウー・チンチン/トゥ・ユアン
配給:日本ヘラルド映画
提供:ニューウェイブ
 文化大革命前の1962年、中国太湖のほとりの美しい農村を舞台に校長を父に持つサンサン少年が恋した転校生の少女や級友との友情…貧しくても家族や友達に囲まれて幸福だった子供時代の思い出を綴る。
 中国のベストセラー小説を原作者が脚本化、児童映画の名手と呼ばれるシュイ・コン監督が映画化しこの年「山の郵便配達」と並び賞賛された。演技経験の無い地元の小学生達ののびのびとした演技も印象的。

 

チベットの女 イシの生涯  2000年 中国
カラー/105分/チベット語
原題“益西卓瑪”
英題“SONG OF TIBET”
監督:シエ・フェイ
原作・脚本:ザシダワ
出演:テンジン・ドガー/ラクチュン/オンドゥ
配給:ビターズ・エンドフォーカスピクチャーズ
 チベットの小さな村で美しい歌声を持つ純情可憐な娘イシは生涯に僧侶、領主、行商人と身分の違う3人の男と出会った。50年の時代の波に翻弄されながら永遠の愛を探し求めた彼女が最後に辿り着いた心は…
 中国映画界がオールチベットロケ、チベット人俳優・スタッフを起用した話題作。初めて撮影されたチベットの歴史的建造物や自然の壮麗な景観が圧倒的な美しさでスクリーンに収められた。
*映画祭期間中、花うたいこさんの写真展「チベットの夢」を展示

 

セプテンバー11  2002年 フランス  ※要整理券
カラー(一部モノクロ)/134分 原題“11'09''01”
配給:東北新社
監督:サミラ・マフマルバフ(イラン)、クロード・ルルーシュ(フランス)、ユーセフ・シャヒーン(エジプト)、ダニス・タノヴィッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)、イドリッサ・ウエドラオゴ(ブルキナファソ)、ケン・ローチ(イギリス)、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(メキシコ)、アモス・ギタイ(イスラエル)、ミラ・ナイール(インド)、ショーン・ペン(アメリカ)、今村昌平(日本)
「今村昌平編(おとなしい日本人)」脚本:天願大介
出演:田口トモロヲ/麻生久美子
 決して忘れない。世界に衝撃を与えた“9・11”同時多発テロをテーマにアジアを含め国籍の違う11人の映画監督が「11分9秒1フレーム」の長さであの日の悲劇と平和について考察するオムニバス映画。

 

欲望の翼  1990年 香港
カラー/97分/広東語
原題“阿飛正傳”
英題“DAYS OF BEING WILD”
監督・脚本:ウォン・カーウァイ 撮影:クリストファー・ドイル
出演:レスリー・チャン/アンディ・ラウ/マギー・チャン/カリーナ・ラウ/ジャッキー・チュン/トニー・レオン
配給:プレノンアッシュ
 1960年の香港。サッカー場の孤独な売り子スーは不思議な魅力を放つヨディと出会い1分間だけの恋人に…『脚のない鳥は飛び続ける、地に降りる時は死ぬ時だけ』完成とともに時代を超越した神話的傑作。
 長岡アジア映画祭で以前に主演作「君さえいれば 金枝玉葉」「夜半歌聲」「追憶の上海」を上映した香港の巨星レスリー・チャン。今年4月1日に夭逝した彼の冥福と感謝の意を込めて代表作を追悼上映。